無痛分娩(硬膜外麻酔分娩)説明書

当院の医師( 淵脇 和男 )は産婦人科専門医です。麻酔研修は鹿児島大学病院麻酔科で1983年に半年間研修し、全身麻酔・硬膜外麻酔・仙骨麻酔・腰椎麻酔を研修・実習しました。その後、各病院で主に産科麻酔(硬膜外麻酔・腰椎麻酔・傍子宮頸管ブロック・静脈麻酔など)を数多くおこなってきましたが、麻酔専門医ではありません。日本母体救命システム普及協議会(J-MELS)ベーシックコース課程修了しています。
硬膜外麻酔施行経験は40年以上で、1989年に開業産婦人科(いそいち産婦人科)医師になって、そののち集計をはじめた1997年以降は1700件以上の硬膜外麻酔施行実績があります。1997年以降の分娩総数は9008件、帝王切開件数は1125件、無痛分娩件数は636件です。(2023年12月31日まで)

当院では原則として以下のような医学的適応のある方だけ、無痛分娩を行っています。欧米のようにほぼ全例で無痛分娩を行うことはありません。あくまでも自然分娩をおすすめしています。当院での無痛分娩は、原則的に計画分娩ですが、最近は自然陣痛発来後の無痛分娩希望もお受けする場合があります。陣痛発来後に以下のような医学的適応が生じた場合には、むしろ、医師のほうから無痛分娩をお勧めする場合があります。

  • 子宮頸管強靭・子宮頸管熟化不全(子宮の出口が未成熟で分厚くて硬い。)
  • 軟産道強靭(高齢出産・肥満で軟産道の柔軟性が低い。)
  • 骨盤がせまい。(耐え難い産痛となりやすい。)
  • 胎児が大きい。(難産になりやすい。)
  • 血圧が高い。(硬膜外麻酔には降圧効果があります。)
  • 仙骨の形態異常(扁平仙骨・重複岬角型仙骨などでは腰がわれそうな産痛となる。)
  • 痛みに弱く、パニック状態になる人。(麻酔により不安がなくなりパニックから解放されお産がスムースに進行する。)

(方法)

子宮頸管が未開大・未成熟の場合は、前日に入院してもらい、子宮頸管内にラミセル・ダイラパンなどを挿入し、頸管を2〜3cm以上開大させます。翌日の朝にラミセル・ダイラパンを抜去します。
当日は朝から絶食です。前処置として、浣腸することがあります。血管確保後に補液を行い、心電図モニター・血圧心拍数自動監視装置・胎児心拍数監視装置を装着します。午前8時15分ごろから硬膜外麻酔穿刺を開始します。側臥位で、まず背中を厳重に消毒し、穿刺部位に局所麻酔します。硬膜外針という特殊な針で慎重に穿刺し、硬膜外腔(こうまくがいくう)という脊髄のそばのスペースに細いチューブを3cmくらい挿入します。持続的な麻酔液注入で約8〜9時間程度、産痛を和らげることができます。必要に応じて、メトロイリンテル挿入、人工破膜などを行います。麻酔により陣痛が弱くなりますので、陣痛促進剤の点滴を行います。当院では、子宮口が全開しましたら、麻酔液注入を中止します。全開大後は、いきんでもらいますが、麻酔により「いきむ力」が弱くなりますので、吸引分娩となることが多いようです。
硬膜外麻酔により産道周囲の末梢血管が拡張しますので、分娩後の出血が多くなる可能性があります。したがって無痛分娩の際は、より厳重な産科出血予防対策が必要です。

(麻酔後の合併症・おこる確率)

  • 頭痛 1/100
  • 麻酔が効かない 1/100
  • 重篤な局所麻酔薬中毒 1/10000
  • 脊柱管血種形成 1/10000
  • 硬膜外膿瘍 1/10000
  • 永続的な神経麻痺 1/10000

当院での硬膜外麻酔穿刺手技料は 40000円です。 時間外・休日の場合、50000円です。医療保険は適用できません。
その他の諸経費をいれて、8万円くらい余計に分娩費用がかかるとご理解ください。麻酔開始後、2日間を要した場合は10万円くらい余計にかかります。

〒885-0085
宮崎県都城市平塚町3016
TEL:(0986) 22-4585 FAX:(0986) 22-3925

平日 受付時間 午前9時~12時まで
午後2時~5時まで
木曜日午後 木曜日午後の外来診療は休診です。
午前中は診療します。
土曜日 受付時間 午前9時~12時まで
午前中のみの診療です。
日・祭日 休診