更新情報

平成23年3月1日更新
産科関連の医家向けの記事

 今回の記事は少し医学的で専門的な記事ですので、一般の方で超音波に興味の無い方は読み飛ばしてください。産科関連の医家向けの記事です。

 今年度より、当院にはメディソン社の超音波断層装置最高機種であるプレミアム ACCUVIX V-20  2台が導入されました。これにより、より鮮明な2D/3D画像を描出することが可能となりました。この装置のすごい所はいろいろありますが、なかでも、DMR(ダイナミックMR)がすばらしい。・・・メディソン独自の特殊フィルタリング 機能によりコントラスト分解能が格段に向上するもので、これは本当にすばらしく、導入してよかったと思います。

DMRを効かせた状態でさらにフォーカスやカラーの設定を変えていくと、骨組織が強調された画像を自分の好みで作り出すことが可能です。私はこの自分お気に入りの設定を「BONE」と名付けて、「超音波による骨盤計測」に役立てています。カラーは黄色っぽくして骨の辺縁が目立つようにし、フォーカスは多段階にして深部まで鮮明に描出できるようにします。

ACCUVIX V-20はこの自分の好みで設定した「BONE」をけな気にも保存してくれまして、タッチパネルのボタンを押すだけで、瞬時に 骨強調画像「BONE」が出現するのです。これにより、恥骨や仙骨の辺縁像が鮮明に描出されます。ただ骨組織以外の音響学 的境界も強く強調されますので、通常設定画像にもどして、軟部組織との相違を確認する必要がありますが、その確認操作も ボタン一つで瞬時に可能です。妊娠28週頃での「超音波骨盤計測」はこの「BONE」骨強調画像を使えば、従来よりも より正確に診断できるような気がします。

 ACCUVIX V-20には「ANGLE」という計測ボタンが付いており、角度を簡単に計測できるようになっています。 これにより、超音波で骨盤開角を従来よりさらに気軽に計測できるようになりました。「BONE」+「ANGLE」でUPA (超音波骨盤開角)が簡単に計測できます。興味のある方は、計測してみてください。きっと役立つと思います。ただし、 「BONE」の設定は私のV-20の中にだけ存在しておりますので、各自工夫していただくしかありませんが・・・。設定は簡単です。メディソンの社員が親身に教えてくれますよ。

下図が骨強調画像「BONE」です。写真では伝わりにくいとは思いますが、恥骨像・仙骨辺縁像ともに従来の画像より格段に強調され、同定やすくなります。ただし、子宮後壁像や直腸内の便塊像もかなり強く強調されますので、鑑別に注意を要します。迷う場合は通常画像にもどしてみるとよいと思います。

特に「BONE」を設定しなくても、通常画像でDMRを効かせればかな仙骨がみやすくなります。フォーカスを多段階フォーカスにして、深部まで見やすくさせることをお忘れなく・・・・。

「BONE」やDMRを活用し、超音波骨盤計測をぜひ行ってみてください。きっとあなたの産科日常臨床に役立つと思いますよ。DMRは胎児の心臓を観察する時も威力を発揮します。妊娠20週~28週頃の胎児先天性心疾患のスクリーニングの際、DMRを効かせますと、従来より格段に心臓が見やすくなることがわかりました。

DMRってすごいですよ。ぜひ導入してみてください。

平成22年12月更新
子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス」について新展開。

 平成23年2月より、ついに都城市でも中学1年~高校1年生までの女子学生を対象に公費助成による子宮頸がん予防ワクチンの接種が開始されます。都城市内の指定された医療施設において、無料で一人あたり3回の 予防接種が受けられるようになります。国および都城市とでそれぞれ半々の公費助成を行うことが決まったようです。この予防接種を実現に導いてくださった関係者の方々に深く感謝を申し上げたいと思います。

当院でも子宮頚部がん予防ワクチン(サーバリックス)の接種が可能です。「サーバリックス」はHPV(ヒトパピローマウイルス)の16型と18型の感染や子宮前がん病変の発症を予防する効果が期待されており、全世界で220万人以上に接種されています。このワクチンは15種類くらいの発がん性HPV(ヒトパピローマウイルス)のうち、16型と18型のふたつだけの感染予防を目的としたものです。すべての発がん性 HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を予防する事はできませんし、すでに感染しているHPVを排除する事もできません。

当院では、「サーバリックス」の接種を平成22年度の3月から開始しておりますが、当初はその安全性にまだ不安があり、1回の接種費用が15000円と高額であるということなどから、接種にはやや及び腰でありました。 しかし半年以上の使用経験から考えて、このワクチンの安全性は高いようですし、その費用対効果も高いことが判ってまいりましたので、平成23年度からは積極的にこのワクチン接種をおすすめしていく方向へ方針を転換いたしました。

国内における子宮頚部癌の発生を大幅に減らすためには、性行為経験の無い小学高学年から中学生3年生までの15歳未満の女性にワクチンを集団接種することが第一に推奨されております。

十分な予防効果をえるために、半年間で3回の接種が必要であるといわれています。20~40歳代の女性においても、接種後の子宮頚がん予防効果が期待されているようです。予防効果は5~6年間といわれていますが、20年間予防効果が持続するという意見もあります。 当院では小学生への接種は行いません。小学生の場合は他の指定施設での接種をお願いいたします。

平成23年2月から、中学1年~高校1年までの都城市在住の女子学生さんは公費助成により無料で接種できます。平成23年1月で高校1年生である学生さんは平成23年3月までに第1回目の接種を受ければ、 2回目以降の接種時期が高校2年になってしまいますが、無料で接種を受けられます。平成23年度4月以降、高校2年になってから1回目の接種を受けた場合には公費助成は受けられませんのでご注意ください。

ワクチン接種後30分間は帰宅せず、病院内で安静にする必要があります。

発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)は性行為により感染しますが、15種類ほどのタイプがあり、その中でもHPV16型、18型が最も発がん性の強いタイプです。サーバリックスはこの二つのタイプの感染を予防することができますし、そのほか、最近の研究では16型・18型に近縁の四つのタイプにも有効性が認められているようです。

性交渉未経験の女性に対する接種が最も推奨されますが、それ以外に、すべての年代の性交渉を有する女性への接種、すでにHPVに感染している女性への接種、子宮頚部にすでに前癌病変を有している女性への接種、すでに子宮前癌病変もしくは子宮頸がんの治療を終えた女性への接種についても、その発癌予防・再発予防効果が期待されているようですので、1回が15000円と高額ではありますが積極的なワクチン接種をおすすめしたいと思います。特に低用量ピルを服用している方、喫煙女性、セックスパートナーが複数の女性などでは積極的に接種することをおすすめいたします。

平成22年10月更新
ウォシュレット症候群についてについて

 ところで、みなさん、「ウォシュレット症候群」という言葉をご存知でしょうか? トイレ時に毎回ウォシュレット(温水シャワートイレ)を使用 する人が増加しており、 温水での洗いすぎによって外陰部の痒みがひどくなり、外陰炎・外陰カンジダ症をおこしてくる患者さんが増加しています。これを「ウォシュレット症候群」と称しています。

 さらにはビデ付トイレも増加しており、トイレ時にビデを使用する人も増えていて(?)、そのせいか細菌性膣症、膣カンジダ症も増加している印象があります。これは私の個人的意見ですが、妊娠中にビデの使用頻度が多い場合は、細菌性膣症を併発し、膣内の乳酸菌が減少し、膣内の清浄度が低下してしまうおそれがあるのではないかと考えております。そうなると、妊娠中期に子宮内へ細菌が少なからず侵入し、絨毛羊膜炎(卵膜炎)がひきおこされ、早産の原因となることが危惧されます。これらの因果関係についてまだ実証されてはいませんが、当院では妊娠中および産後にはウォシュレットを使用しないように指導しています。

 最近の日本のトイレはほとんど洋式トイレばかりで、ウォシュレット(温水シャワートイレ)が当たり前のように付属して取り付けてあります。・・・・当院は昨年、外来トイレを改造いたしましたが、その際、工事業者は当然のようにウォシュレットの付いた便器を設置しました。そこで、工事業者を説得して、スイッチにふたをかぶせさせ、ウォシュレット(シャワートイレ)は使えないようにしてもらいました。このように、当院の外来や病室のトイレではウォシュレットを使えなくしてあります。院内感染予防のためです。
お産で入院した後も、ウォシュレットは使用できません。ウォシュレットが使えないので不思議に思うかもしれませんが、あらかじめ御承知おきください。
当院では、15歳~40歳代女性のワクチン接種のみ行います。50歳代以降の女性の接種については、当院では特におすすめはしておりません。

 全くの個人的見解ですが、病院内にウォシュレット(シャワートイレ)つきの便器を設置することは院内感染防止の立場からみて、危険ではないかと考えております。洗浄ノズルの汚染、温水タンク内の温水の細菌増殖などという問題が解決されていないと思います。ウォシュレットは日本の便器メーカーが開発したものらしく、昨今、世界へ普及しつつあるようです。大袈裟かもしれませんが、もしかして院内感染や早産との因果関係が認められれば、世界的に社会問題化する可能性もあるのではないかと非常に心配しています。

平成22年3月10日更新
子宮頸がん予防ワクチン(サーバリックス)について

今月より、当院でも子宮頚部がん予防ワクチン(サーバリックス)の接種が可能です。 「サーバリックス」はHPV(ヒトパピローマウイルス)の16型と18型の感染や子宮前がん病変 の発症を予防する効果が期待されており、全世界で220万人以上に接種されています。

 このワクチンは15種類くらいの発がん性HPV(ヒトパピローマウイルス)のうち、16型と18型のふたつだけの感染予防を目的としたものです。すべての発がん性HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を予防する事はできませんし、すでに感染しているHPVを排除する事もできません。

 当院では、現時点で「サーバリックス」の接種を特に強くおすすめしているわけではありません。
15歳以上の未成年の接種の場合は保護者同伴での来院をお願いいたします。15歳未満のワクチン接種は当院では行いません。

当院では、15歳~40歳代女性のワクチン接種のみ行います。50歳代以降の女性の接種については、当院では特におすすめはしておりません。

 今後、国内における子宮頚部癌の発生を大幅に減らすためには、性行為経験の無い小学高学年から中学生3年生までの15歳未満の女性にワクチンを集団接種することが推奨されております。 本来は15歳未満の女性にこのワクチンを接種した方がよいようなのですが、当院では当分の間、15歳未満の女性へのこのワクチンの接種は見送りたいと考えております。

 当院での1回の接種料金は15000円です。十分な予防効果をえるために、半年間で3回の 接種が必要であるといわれています。20~40歳代の女性においても、接種後の子宮頚がん 予防効果が期待されているようです。予防効果は5~6年間といわれていますが、20年間予防効果が持続するという意見もあります。

 ワクチン接種後30分間は帰宅せず、病院内で安静にする必要があります。

 発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)は性行為により感染しますが、15種類ほどの タイプがあり、その中でもHPV16型、18型が最も発がん性の強いタイプです。

 ただ実際にはこの発がん性ヒトパピローマウイルスに感染しても、9割以上の女性で、免疫によりウイルスは自然消滅していくのです。しかし1割くらいの女性でこのウイルスが持続感染していき、そのうちの一部の女性が子宮癌になるのです。

 当院では、15種類ほどの発がん性のHPV(ハイリスクHPV)に感染しているか否か検査する事も できますが、現在のところ医療保険は使えません。当院では3500円で検査可能です。

 当院では子宮がんのスクリーニング検査である子宮頚部細胞診をおこなう際には、このウイルス 検査を同時に行っていただきますようにおすすめしています。しかし、ワクチン接種の際に、特にこれらの 検査をおこなう必要はありません。

平成21年10月更新
出産育児一時金の医療機関への直接支払い制度

 平成21年10月1日から、「出産育児一時金の医療機関への直接支払い制度」が開始されます。

この制度を各産科医療施設が導入・施行するまでに6ヶ月の猶予期間が設けられています。
当院では、本年10月1日より、この制度をご利用していただく事が可能です。詳細については「お産で入院時の注意」コーナーに記載してありますのでそちらをご覧ください。

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